2016年05月17日
田中光敏監督の貢献に感謝
トルコ記念館名誉館長委嘱
串本町
トルコ記念館名誉館長の証しとなる盾を受ける田中光敏監督(左)=13日、串本ロイヤルホテル

 串本町は13日、映画「海難1890」の田中光敏監督にトルコ記念館名誉館長職を委嘱した。映画製作で同町のPRに絶大な貢献をした事への感謝を込めた任命で、田中監督は「この映画はできて終わりではなく、これからが始まりだ。これからは(この作品で)真心を世界中に広めるため頑張りたい」と応えた。

 この映画は1790年に同町樫野沖であったオスマン帝国(現トルコ共和国)軍艦エルトゥールル遭難救助と1985年にイランであったトルコ航空邦人救出、二つの史実から日本―トルコ間で成り立つ真心を描き出した作品。両国合作作品として約17億円の巨費を得て製作され、日本では昨年12月5日から全国約300館で一斉公開された。今月9日現在で68万人の観客を動員し、両国合わせて約112万人が鑑賞している。2015年日本アカデミー賞では10部門で優秀賞を獲得。うち2部門で最優秀賞になる高評価も得た。

 田中監督は田嶋勝正町長の大学時代の学友で、約11年前に2人で映画製作を着想。製作費確保が長らくの障壁だったが、日ト友好125周年が迫るにつれて地元製作準備委員会などの支援活動が活発化し、両国政府も関心を示すほどの話題性の高まりで一気に当初予定の約3倍の製作費が集まり、一昨年12月に念願の製作へこぎ着けた。

 田中監督のこだわりで、約1カ月にわたって自然景観もふんだんに取り入れた町内ロケが行われた。その間は地元もエキストラ協力や炊き出しでロケを支援。トルコ共和国でも現地ロケを重ね、両国の人々の思いと先人の真心が詰まった作品として完成した。

 委嘱は同町と映画「エルトゥールル(仮称)」製作準備委員会(島野靖委員長)が串本ロイヤルホテルで開いた祝宴内で行われた。招待者約100人が見守る中、同町功労者表彰状と併せて委嘱状と名誉館長用ジャケットを贈り、田嶋町長は「県民の10人に1人が見てくれている状況を聞き、あらためてすごい映画だと感じている。田中監督には素晴らしい情熱と才能を最大限に発揮してくれた」と称賛。田中監督は「地元の皆さんが温かく見守ってくれた事に感謝している」と述べつつ、映画完成を史実啓もうの起点に位置づけて地元の史実啓もうに弾みをつけた。

 祝宴では田嶋町長とともに会場を回り、サインの希望にも気さくに応えるなどして招待者と親交を深め合った。翌14日には名誉館長就任記念として、同町樫野のトルコ記念館前にトルコで栽培が盛んなオリーブ苗を植樹し、殉難将士慰霊碑に献花奉告するなどした。

(2016年5月17日付紙面より)

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トルコ記念館名誉館長の証しとなる盾を受ける田中光敏監督(左)=13日、串本ロイヤルホテル
同館そばの広場にオリーブの苗を記念植樹=14日、串本町樫野