2011年8月30日から9月5日にかけて、和歌山県南部や三重県を中心に長期間にわたって激しい雨を降らせ、各地で浸水被害や土砂災害を発生させた「紀伊半島大水害」。これにより和歌山県で56人、三重県では2人が死亡した。未曽有の大災害から間もなく15年が経過するいま、悲劇を繰り返さないよう、各地でハード、ソフト両面の整備が行われている。
県内で最も多い29人が死亡した那智勝浦町は6日、市野々小学校を会場に「土砂災害防災訓練および避難所開設訓練」を実施。校区周辺の市野々、井関、八反田、那智山区の住民と官民一体で取り組み、二度と土砂災害で犠牲者が出ないよう結束した。
訓練の主な内容は▽情報伝達▽要支援者の避難支援▽逃げ遅れた要支援者への対応▽避難所開設―など。
訓練は「レベル3大雨警報」が発表され、24時間雨量で200㍉の降雨が予想されるため、町は「高齢者等避難」を発令。地区の自主防災組織(自主防)と消防団が避難行動要支援者への支援を開始したという想定で行われた。
雨は勢いを増し「レベル4土砂災害危険警報」が発表されたことに伴い、町は避難指示を発令。同校に避難した住民と自主防が協力して避難所を開設し、避難者数・要支援者の把握に努めた。
避難所開設訓練では、リーダー、副リーダー決めに始まり、生活空間、やトイレ、備蓄物資の準備、電気の確保など避難所で生活する上で必要な環境を整備した。
体育館の中ではパーティションで避難者の生活スペースを区切ったり、段ボールベッドの設置、発電機などの資機材を体験してもらったりした。屋外では給水車から給水タンクに水を補充する体験などが行われた。
市野々区で要支援者1人の避難が確認できていないケースを想定した訓練では、自主防と役場が災害対策本部と無線でやり取りし、消防団第4分団の応援を得て捜索した。
堀順一郎町長は「過去を変えることはできないが、過去から学ぶことはできる。訓練は今後も続けていく」と話した。
(2026年6月9日付紙面より)